コラム

2021.12.01

社員食堂でSDGs実践――美味しく食べて、”知る”社会貢献

社会貢献活動は、企業にとって必須の責務。いまや企業は、商品やサービスの提供だけではなく、未来のために役立つ活動も求められるようになりました。
なかでも、近年キーワードになるのは「SDGs」。2015年9月25日の国連総会で採択された、環境を守り、差別と貧困をなくして持続可能な社会を作っていこうという、世界的な目標です。

弊社勤労食ではプラスチックごみ削減と食育につながる食べられるスプーン『PACOON』を企画開発、販売しており、ありがたいことによく取材依頼もいただいています。
が、それだけではなく、社員食堂事業でもSDGsを実践していますので、今回はそのお話をさせてください。

社員食堂でのSDGs実践は、弊社だけでなく社員食堂を導入いただいている企業様の社会貢献活動にもなりますので、ぜひご検討いただければと思います。弊社運営の食堂は現地調理・現地加工ですので、企業様の方針に合わせて柔軟なメニュー構成を考えられます。
 

■社員食堂で、SDGsメニューを!



SDGs=サスティナブル、環境保護、というイメージがあるかもしれませんが、実際には上記のように、貧困や差別の解決、平和の実現なども含むとても広い意味の言葉です。
その中で、社員食堂のメニューで実践できることといえば、

・飢餓をゼロに
・すべての人に健康と福祉を
・つくる責任、つかう責任
・気候変動に具体的な対策を
・海の豊かさを守ろう
・陸の豊かさを守ろう

などがあります。
わかりやすい例としては、以下のような食材、メニューがあります。
 

ヘルシーで美味しい、大豆ミート

(名古屋市役所ikotto)SOYタコライス


(名古屋市役所ikotto)揚げ出し豆腐とSOYメンチカツ

代表的なSDGsメニューが、大豆ミートを使ったお料理。大豆は健康に良いだけでなく、畜産のために使用される水資源や穀物資源を減らし環境負荷を軽減するというメリットがあります。また、世界的な人口増加による動物性たんぱく質の不足が懸念されており、大豆は健康を維持するためのたんぱく質の補給源としても期待されています。

弊社の社員食堂では、「SOY タコライス」「SOY ジャージャー麵」「大豆ミンチのドライカレー」「大豆ミートのメンチカツ」などを社食メニューとして積極的に取り入れています。

そういえば、低コストなたんぱく質として昆虫食も注目されていますね。無印良品や敷島製パンといったメジャーな企業がコオロギパウダーを使った商品を出しているくらいなので、いずれは社員食堂でも選択肢に入ってくるかもしれません。環境負荷の軽いプラントミルク(豆乳、アーモンドミルク、オーツミルクなど)も増えていますし、食堂運営にあたっては最新の食事情の把握は欠かせません。
 

食品ロスを減らすエコメニューも

(名古屋市役所ikotto)ECOGAYUのポップ

「12.つくる責任、つかう責任」としては、フードロスをなくす努力も必要。例えば名古屋市役所の食堂「ikotto」には、野菜の皮20gを使った「ECOGAYU(エコ粥)」があります。大根の皮・葉、にんじんの皮、キャベツの外皮や芯といった栄養たっぷりの部分を使ったお粥で、ヘルシーで美味しいと大好評です。
 

食べられるスプーン『PACOON』でプラスチックごみ削減&食育

(名古屋市役所ikotto)PACOON付きのかぼちゃプリン

弊社が企画開発している食べられるスプーン『PACOON』をデザートに添えることもあります。プラスチックごみ削減の観点で注目度が高いのですが、野菜パウダーを練り込んだカラフルなスプーンで、実は食育目的の商品でもあります。



ビーツって何だろう、いぐさって食べられるんだ、おからは身体に良さそうだな、など、些細なことでもいいので、食に関心を持つきっかけにしてほしいです。
 

■地産地消も、環境貢献!

「地産地消」はSDGsの前から存在するキーワードですが、SDGsとも深い関係があります。
地元のものを地元で消費することは、海洋資源や陸の資源を守る一助になります(輸出のための乱獲や輸出用作物を育てるための自然破壊など、無理な負荷が減るため)。また、輸送コストの削減は省エネにもなります。

・海の豊かさを守ろう
・陸の豊かさを守ろう
・気候変動に具体的な対策を

このあたりは、すぐに思い浮かびますよね。
ほかにも、輸送コストが下がれば販売価格を下げられるので、より多くの人が質の高い食料を購入できるようになるでしょう。郷土愛を育み、食育につながるという意味では、教育にもなりますね。

・すべての人に健康と福祉を
・質の高い教育をみんなに

といった点でも、地産地消はSDGsの目標達成に貢献できそうです。
 

安城市役所「ikotto」の例


安城市役所の社員食堂では、地元食材を使ったメニューを出すだけでなく、地元の安城農林高校の生徒さんの出張販売所を設けたり(常設ではありません)、地産地消メニューの日にお客様プレゼントを用意して市民の方が食堂を利用したくなるきっかけ作りをしたりしています。
安城特産のそうめんや愛知県産のお米をプレゼントにした際は、特に多くの市民の方が訪れてくださいました。


(安城市役所ikotto)グリルチキンの農林いちじくジャムソース

こちらは、安城農林高校の生徒さんが作ったいちじくジャムを使ったメニュー。いちじくも、安城市の特産品です。


(勤労食NEWS)安城市役所ikottoで提供した「ちんげん菜と安城和牛のスタミナ丼」

安城産のチンゲン菜を使ったメニューもよくお出しします。写真は、「ちんげん菜と安城和牛のスタミナ丼」。安城和牛は生産数が少なく、幻の黒毛和牛とも呼ばれている逸品のため、普段より少し高めのお値段でしたが大人気でした。
地産地消メニューのときは農家さんが覗きに来てくださることもあり、交流の機会にもなっています。



ちなみに安城市役所の食堂は、安城公園に隣接しているので、子ども連れのご利用も多い場所。子ども椅子や子ども用食器もあります。一般開放している社員食堂では、地元の方の健康や食育を担うことにもなるので、責任重大ですがやりがいもあります。
 

■社員食堂を、「知る」きっかけの場に

地球の未来を守るためには、一人ひとりの意識が大切。社会全体での興味関心も高まっていますが、「キーワードは聞いたことがあるけど、内容はよく知らない」という知識レベルの人が多いのもまた事実ですよね。

そこで、社員食堂の出番!食堂内の掲示やメニュー紹介で「なんとなく目に入り、知る」という機会は、即効性はないものの非常に重要なことです。最近は子どものほうがよく知っていることも多いので、家庭での会話が広がることも期待できます。

以下の例は企業側からご提案があって実現した取り組みですが、単なる企業努力の一環ではなく、そのメニューを選んでくれた人の気持ちも乗せて現地に届けたいと思っています。そのためにはどんな取り組みなのかを理解していただく必要があるので、その点でも試行錯誤しています。
 

TFTメニュー

TFTは「TABLE FOR TWO」の略。開発途上国の子どもたちが飢餓に苦しむ一方、先進国では肥満による生活習慣病が深刻な問題です。TFTは、双方を解決するために誕生した、先進国の人がヘルシーなメニューを注文・購入するごとに、開発途上国の給食1食分に相当する20円が寄付されるプログラムです。

社員食堂をおまかせいただいている株式会社アイシン様は2010年1月からTFTに参加しており、食堂ではTFTメニューが提供されています。TFTという活動を知ること、まずはTFTメニューを注文する瞬間だけでも貧困や飢餓の問題に想いを馳せ、自分の健康を意識することが重要だと考えています。

参考:
https://jp.tablefor2.org/
 

フェアトレードの食材

フェアトレードは、適正価格で継続的に公正な取引をすることにより、開発途上国の貧しい生産者や労働者の生活改善と自立を支援していこうという、国際的な運動のスローガン。コーヒーやカカオが代表的ですが、安い賃金で子どもまで働かされるような劣悪な環境は、変えていかなければなりません。

しかしそれも、まずは知ることから。
名古屋市役所の食堂では市役所からの提案でフェアトレードコーヒーを導入したのですが、なぜフェアトレードのコーヒーが高いのか、逆になぜその他のコーヒーは安いのか、と考え、「コーヒーを飲むだけで社会貢献になるんだ!」と、知っていってほしいと思っています。
 


(名古屋市役所ikotto)パレスチナ産オリーブオイルを使った、「フェアトレードオリーブ粥」

名古屋市役所ではコーヒー以外のフェアトレード商品も少しずつ増やしていく予定で、毎日は無理な食材でも不定期で導入したりしています。

■若い力も借りながら、よりサスティナブルな社食メニューを!

個人の力では、環境問題や貧困問題をすぐに解決することはできません。個人ができることは、知ることと、少しだけ意識することだけかもしれません。でも私たちは、まずはそこが第一歩だと思っています。

社員食堂で毎日高めのメニューを出すのは難しいですが、企業様とも協力しながら、できる範囲でサスティナブルなメニューを出し、知見を広げるきっかけにしていただきたいです。
食事メニューだけでなく、フードロスを減らす、ごみを減らすといった面での努力も必要なので、廃油利用やエコな洗剤の使用なども考え、発信していくつもりです。

そして、このような活動を通して実感するのは、若い頃から習慣として意識することの大切さ。安城農林高校との取り組みは紹介しましたが、コラボメニュー開発やご当地丼コンテストの開催など、食にかかわる勉強をしている学生さんとの企画も積極的に行っています。
今後は、「世の中をより良くしたい!」という熱意ある若い人たちとの連携の輪をさらに広げながら、人や社会の発展のためのサスティナブルな取り組みを続けていきたいと思っています。
いろいろ興味深い提案が集まっていますので、その件については次回以降にお話させてください。

 

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