人生100年時代、という言葉をよく聞くようになりました。
“2007年に日本で生まれた子どもの半数が107歳より長く生きる”という海外の研究が根拠のようですが、だとすれば50歳でもまだ半分以下。
60歳定年だと40年、70歳まで働いたとしても30年も残る計算です。
その長い人生を謳歌するための鍵はいくつかありますが、今回は食堂運営会社として、「食と健康」についてお話させていただきます。
■ 社員食堂で、健康づくりのお手伝い
画像|(安城市役所ikotto)牛焼肉でも、野菜たっぷり!
「母親よりも、妻よりも、社食のごはんを食べてきた期間のほうが長いなあ」
と、あるお客様に言われたことがあります。
弊社勤労食は創業50年以上。新卒の頃から40年以上社食に通っていらっしゃる方だと、たしかにそうなります。
毎食、いつでも食べる方の健康を考えていますが、そう言われるとあらためて、責任の重さを痛感しました。
人生100年のうち、少しでも長い時間を健康で過ごしていただくために、社員食堂でお手伝いできることがあります。
◇野菜嫌いの人にも、健康を
“食育”という言葉が広がり、子どものころから食について学ぶ大切さが認知されるようになりました。弊社で販売している食べられるスプーン『PACOON(パクーン)』も、子どもたちが楽しみながら野菜に興味を持てるようにと開発した商品です。
これは逆に言うと、大人になってから食の意識を向上させるのはかなり難しいということ。
社員食堂でも、野菜多めのメニューを選ぶのは若い人たちで、年配の方ほどラーメンや唐揚げ……なんてこともあります。
そこで私たちは、大豆ミートの唐揚げを出したり、お肉メニューを野菜たっぷりにしたりして、少しでもヘルシーな食事を摂ってもらえるよう工夫しています。
◇早食いの人にも、健康を
多くの企業のお昼休みは、1時間。仮眠、ランニング、読書、スマホゲームなど、お昼休みにやりたいことは人それぞれで、そのために食事は短く済ませるという方も多くいらっしゃいます。早食いは肥満や糖尿病のリスクを高めるので、できればゆっくり噛んで食べていただきたいですが、それもなかなか難しい話です。
そこで私たちは、「食事に重きを置かない方にも、健康的なものを食べていただきたい」と考えて献立を作り、調理しています。
社員食堂があることで、カップラーメンや菓子パンで昼食を済ませる日が減るのであれば、健康づくりの大きな助けになると思っています。
■ 社員食堂で、ストレス解消&リフレッシュ
画像|(名古屋市役所ikotto)鰻メニューは、いつも大人気!
社員食堂を、単に安くてヘルシーな食事が摂れる場所だと思っていませんか?
しかしわたしたちは、お財布と身体に優しいだけでなく、ストレス解消やリフレッシュにつながる食堂運営を目指しています。
ストレスが溜まると、心だけでなく身体も弱りがち。
人生100年時代を謳歌するには、身体の栄養だけでは足りないと考えているからです。
◇食事の時間で、気分をリセット
自分の席で昼食を摂ると、移動の時間がない分、休み時間を長く使えます。そのメリットはたしかに大きいのですが、仕事の場所と食事の場所を分けることで、気持ちがリセットされるというリフレッシュ効果は確実にあると思います。
社食に来ると仕事の悩みからいったん解放される。社食から出るときに「さあ午後からもがんばろう」とスイッチが入る。
そんな場所でありたいです。
◇あたたかい手づくりの食事で、ほっと一息
あたたかい食事には、気持ちをやわらげてくれる効果があります。自炊生活なら、「誰かが作ってくれた食事」というだけで嬉しい気持ちにもなりますよね。
普段はお弁当生活の人でも、あたたまりたい気分の日は社員食堂に行き、手作りのできたてのごはんを食べる。
汁物でほっとしたり、食後のデザートを楽しんだりする。
そんな使い方もしていただきたいです。
◇イベントで、ランチタイムの楽しみを
食事の時間を楽しむ、そのこと自体も心の栄養になります。弊社が運営する社員食堂では、鰻などお昼が楽しみになるような特別メニューや、次回無料券が当たるクジ付きのラーメンなど、イベント要素のある企画を実施することも多いです。
実際、どこの社員食堂でも特別メニューの日は普段よりも利用者が増えるので、食事の時間を楽しんでくださっている人が多いことを実感しています。
■ 社員食堂を導入される企業様の想い
画像|企業様の想いを汲んだ食堂運営が弊社勤労食の強みです
70歳くらいまで働く人が増えた今、従業員が年を取っても健康であることは、企業にとってますます重要になっています。
社員食堂も、「従業員が長く健康に働けるよう健康面でサポートしたい」という想いで導入されている企業様がほとんどです。
さらに、弊社運営の社員食堂は現地調理・現地加工。
セントラルキッチンで作った食事を配送するスタイルと違って融通が利くことから、食に対して栄養以上の価値を見出してくださっている企業様が多いのが特徴です。
◇社員食堂は、大人の給食⁉
小学生のころ、3時間目くらいになると給食を調理するにおいが学校中に漂っていた……、そんな思い出を持つ人も多いでしょう。勉強しながら、遊びながら、お昼ごはんに想いを馳せ、楽しみにすることは、毎日の生活を豊かにしてくれる体験です。
「社員食堂を導入することで、従業員に“大人の給食”の時間を提供したい」
「社員が献立表を見て、会社に行くのを楽しみにしてくれるといいな」
「食堂でヘルシーなおやつも出せると、コミュニケーションにも役立ちそうだな」
そんなお話をしてくれた社長さんがいらっしゃいました。
毎日の食事を大切にする会社が、もっともっと増えてくれるといいなと思っています。
◇社員食堂を、地域とのつながりの場に
最近は、食堂を一般開放する企業・自治体も増えています。企業の場合は、地域との交流やブランディング強化のために。
自治体(県庁や市役所等)の場合はそれに加えて、地産地消をアピールする絶好の場所としても機能します。
例えば愛知県の安城市役所では、地元の農業高校の直売所を設けたり(常設ではありません)、地元の特産品を使ったメニューを積極的に提供したりして、地域に愛される食堂になっています。
◇離れていても、心は一つ。繁忙期を一緒に乗り切ろう!
海外支社のあるグローバル企業や、特定の時期がものすごく忙しい業種、派遣社員さんやアルバイトさんを大勢抱える企業の場合、一体感やモチベーション維持のために社員食堂を活用されることもあります。例えば、メキシコ支社のある会社がメキシコ料理を出す日を設けたり、12月が繁忙期の会社で豪華なクリスマスメニューを用意したり、といったことです。
遠く離れていても、一緒に働いているよ!
すごく大変だけど、美味しいものを食べて一緒にがんばろう!
食事を通してそんな気持ちを育むお手伝いができるのは、嬉しいことです。
■ 人生100年時代、社員食堂にできること
画像|現地調理・現地加工の“顔が見える食堂”だからこそ、できることがあります
60~70代まで社員食堂を利用していただいたとしても、その後の人生は長く続きます。
社員食堂として、もっとできることがあるはずだと日々考えています。
◇食を大切にする習慣づくり
大人になってからの食育は難しいと書きましたが、でも不可能ではありません。食は毎日のことですから、少しずつでも意識を変えていけると思っています。
野菜や魚を食べる習慣づけはもちろんのこと、オーガニック食材やフェアトレード食材、地産地消といった知識も、食への関心や理解を深めるきっかけになります。
メニューのポップや食堂内の掲示などで、もっと発信していきたいです。
◇食堂の献立・レシピの発信
インターネット上にたくさんのレシピが掲載されていますが、料理初心者の人は多すぎて逆に選べないこともあるかもしれません。そもそも、毎日の献立を考えるが難しいという人も多いですよね。
社食メニューの献立やレシピを発信できれば、退職されたあとも「迷ったときは社食と同じにしよう」「食べ慣れたあの味を作ろう」と活用いただけると思います。
まだ構想段階ですが、実現に向けて検討したいです。
◇老後の健康に役立つメニュー開発
いまのところ、社員食堂で高齢者用を謳っているメニューは準備していません。でもこれからは、老後の健康のためによく噛むことを意識したメニューや骨粗しょう症予防になるメニュー、逆に高齢者のために柔らかくヘルシーなメニューなどを考えることになるかもしれません。
また、現在でも社員食堂のお粥メニューは老若男女問わず大人気で、健康を意識されている方が多いことも感じています。
アンテナを高くして、時代にマッチしたメニューを提供していきたいです。
■ 働き盛りのうちに、健康な食習慣を
画像|まずは、「魚も食べなきゃ」と思っていただくことから!
食事により得る栄養は、心身ともに直接的に効果があります。
あたたかい食事を摂れば心が安らぎますし、不摂生をしばらく続けると体重が増減したり、健康診断の数値が急に悪くなったりしますよね。
そして毎日のことだけに、良い習慣も悪い習慣も蓄積し、老後の健康に大きな影響を与えます。
だからこそ、働き盛りのうちに食の意識を高め、自分の身体に目を向ける習慣を付けることが大切です。
お昼に何食べようかなと楽しみに考えること。
野菜や魚のメニューも選ぼう、と、ちょっと意識すること。
食堂で、できたてのあたたかいお食事を摂ること。
食後に、美味しかったなあと感じること。
そんな日々の積み重ねは、定年後の食の意識を確実に変えるでしょう。
社員食堂を通して、働き盛りのみなさんの健康を、長きにわたって支えていきたいと思っています。